2009/06/07

初夏の保津峡エコツアーが開催されました!(前篇)

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本日(7日)、「初夏の保津峡エコツアー」が開催されました。このエコツアー、昨春にも実施する予定だったものの、大雨で中止となって以来、私たちプロジェクト保津川のスタッフの間では、「リベンジ!」を合言葉に、企画を練りに練って準備を進めてきた一大イベント!

さて、その模様はどうだったのでしょう?

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朝8時30分に亀岡の保津川下り乗船場に集合、受付と説明が行われました。前日の天気予報では「晴れ、降水確率0%」の予報だったのに、朝起きてみるとなんと分厚い雲に覆われているではありませんか!しかしまあ、なんとか天気も持ちそうだ、ということでスタッフ一同、ほっと一息です。

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今日の参加者は合計55人、遠くは大阪や西宮、滋賀からお越しいただいた方もありました。

説明の後、さっそく桟橋に降りて2艘の船に分かれて乗船してのスタートとなります。最初に船頭さんでもあるプロジェクト保津川のスタッフから、櫂や舵、竿など船頭さんの使う道具を説明しました。いったいこの船はどうやって進むのか、3人の船頭さんの役割はどう違うのか、などなど400年伝わる保津川の「下船術」に、みなさん興味津々です。

参加者のみなさんに伺ってみたところ、今回が初めての保津川下り、という方がほとんどでした。とくに地元・亀岡の方が意外に保津川下りに乗ったことがない、という方が多く、どこでもそうだと思いますが身近すぎると、かえって訪れないもの。みなさんに保津川の魅力をどう伝えられるか、ゴールが楽しみでもあり、緊張もします。

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乗船場を出発した船は、しばらくは緩やかな流れを下って行きますが、山本浜から保津峡に入ると景色は一変、急流にさしかかると歓声が沸き起こります。いろいろな鳥も姿を見せて、自然を満喫できる川下り、何度乗っても楽しいものですね。

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途中、ラフティングボートが船を避けて待ってくださっています。よく見ると、いつも筏復活プロジェクトでもお世話になっている、リバー・アドベンチャー・クラブ(アオキカヌーワークス)のみなさんです。お互い手を振って、挨拶をかわします。こういう一瞬も保津川の楽しさのひとつですね。ちなみに今はラフティング・ボートが舟を待ちますが、かつて筏が流れていた頃は、筏を舟が待っていたそうです。今も昔も変わらない、暗黙の保津川のルールですね。

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さて、保津峡最初の急流である「金岐の瀬」を下ったところで舟をぐるっと回して接岸して上陸します。普段の保津川下りでは決して味わうことの出来ない「保津川ターン」。狭い峡谷で全長12mもある大きな舟をくるっと回す、簡単なように見えて、実は高度な操船技術が要求される、難しいものなんですよ。

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ここでは漂着ゴミの実態をご覧いただき、少しだけ清掃活動を体験していただきました。ほんの数10cm水位が上がるだけでご覧のとおり、大量のゴミが流れ着きます。そのほとんどは、ペットボトルや発泡スチロールの食品トレイなど、私たちの普段の生活に身近なものばかり、そんな様子にみなさん驚かれていました。

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一般のお客さんを乗せて舟が下って行きます。船頭さんから、「今日は川の掃除に来ていただいているんですよ」と乗船客のみなさんに紹介していただくと、みなさんからは「ありがとう~!」「頑張ってね~!」の声をかけていただきました。そんな声が私たちスタッフには一番の励みになります。

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さて、この1ヶ所だけで20Lサイズの土嚢袋に25袋もゴミが集まりました。そのほかにもタイヤやバイクのマフラー、大きなゴザなど実にさまざま。かさ容量にして0.5tになります。後日、船頭さんたちに回収してもらうため、ゴミを林道まで持って上がるのも一苦労です。

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今回のエコツアー、ゴミ掃除だけが目的ではありません。保津峡に残るさまざまな歴史的遺構などもご紹介しました。こちらは保津川の守り神、不動明王の石像です。明治時代に川の中から発見された石造は、その様式からかなり古いものらしいですが、いつしか保津川の守り神とあがめられるようになり、地元の保津地区の方や船頭さんたちにより、手厚く祀られています。

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さて、ふたたび舟に乗り込んで出発です。うまく舟を操って離岸、当り前のようにさらっとされてしまうところがまたすごいなあ、と、何度見ても思う瞬間です。

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保津峡一落差のある「小鮎の滝」を超えていきます。前の舟の姿がすっと消えると、次は自分の舟の番です。一気に2mの落差を落ちる様は迫力満点!

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一転して流れがゆるやかなところでは今度は別のお楽しみ、操船体験です。簡単なように見えて難しい櫂引き。なかなか船頭さんのようにはうまく行きません。

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さて、もうしばらく下った「清水」と呼ばれるポイントでふたたび上陸。今度は、60年前まで舟を曳いて上がった「綱道」と呼ばれる曳き上げ道を実際に歩いて、そして曳き舟の体験をしてもらいます。下っていく定期船のお客さんからは「いいな~!」の声。うらやましいでしょう?(笑)

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道、といっても幅50cmほどのケモノ道のような「道」。かつて舟を引っ張って帰っていた頃は、こんなところをなんと綱を持ちながら走って上がったそうです。もし、綱が水に浸かると水を吸って重たくなってしまいます。綱を濡らすのはご法度、だから綱がたるまないように常に走っていたそうです。それでも、嵐山から亀岡まで4~5時間はかかったそうで、草鞋も2足から3足は必要だったそうです。

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かつての曳き上げの様子を河原林理事が実演。綱をたすき掛けにするのではなく、肩にかけるようにしているのは、万が一強い力で引っ張られたときに、さっと綱を外せるために、ということだったそうです。先ほどの小鮎の滝のような急流では四つん這いになって、両手両足で岩をしっかりと掴んで、ゆっくりゆっくりと登っていったそうです。実際にご覧いただくことで分かる、昔の人の苦労ですね。

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ということで、今度はみなさんに曳き船を体験していただきました。船頭さんのサポートがあるとはいえ、足場の悪い狭い道を進むのはそれだけでも至難の技です。

新聞などで大きく取り上げていただいたのでご存じの方も多いかもしれませんが、今年の冬に、私たちは「保津川の世界遺産登録をめざす会」などと合同で、60年ぶりに保津峡の「曳き舟」を再現しました。

今度はそれを一般のみなさんにも体験していただこう、という試みです。先頭を行く「先綱」だけですが、60年前まで実際に使われていた本物の曳き綱(下の写真の女性が持っている綱)を、亀岡市文化資料館のご好意でお借りして使いました。この曳き綱は麻で出来ていて、軽くするためにぎりぎりまで細く、そして強く編まれています。

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一方、当時は舟にも「船長」が残って竿をさしながら、曳き上げていました。「船長」は舟が岩にぶつかったり、流れに吸い込まれないように舟をあやつる重要な仕事。万が一、綱が切れたときには一人だけ取り残される、危険な場所でもあります。そんなお仕事も体験してもらいました。

体験された方は一様に「昔の人ってすごいなあ」とおっしゃっていました。そもそも舟を曳き上げていたということも、あまり知られていませんでしたが、その様子を少しでもご覧いただいて体験することで、保津川という人と自然が織りなしてきた文化に触れていただければと思います。

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そんなスリル満点の貴重な体験の後は、もうしばらく下ったJR保津峡駅下の「鵜飼の浜」でお楽しみの昼食です。今回も、亀岡の地産地消レストラン「四季菜」のみなさんに作っていただいた特製弁当です。全部地元産の素材なんですよ!

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みなさん、いい笑顔ですね!私も美味しくいただきました!この鵜飼の浜は、平安時代に清和天皇が鵜飼を楽しんだことにちなんで名付けられた浜です。そんな由緒ある場所で、川の音をBGMにいただくランチは最高のぜいたくです。

さて、これで行程の半分。このあとどんなお楽しみが待っているのでしょう?

・・・後篇につづく

(H)

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