2010/01/20

大阪商業大学原田ゼミによる保津峡の漂着ゴミ調査が行われました!

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昨年末12月19日(土)、恒例となった大阪商業大学経済学部原田ゼミのみなさんによる保津峡の漂着ゴミ調査が実施されました。

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この調査は、保津川遊船企業組合エコグリーン環境対策委員会の協力のもと、毎年実施されているもので、普段はなかなか近寄ることが出来ない保津峡に船を接岸、上陸して、漂着ゴミの組成を調べるというものです。

当日は、12月でも一番冷え込んだ日でしたが、朝9時に船に乗り込み亀岡の乗船場を出発、今回の調査地点である「狸のまわり」と「大高瀬」へと向かいます。

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最初の調査地点である「狸の回り」に上陸です。

実はこの場所は当初は調査地点に入っていなかったのですが、漂着ゴミが回収できずにまだ大量に残っている船頭さんからの情報で、急きょ調査対象に加えた場所です。

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秋の大雨で流されてきたペットボトルや空き缶が大量に漂着しています。また、今回の調査で気になったのは、竹が特に多いということ。これは上流での河川改修事業で河川敷に広がっていた竹藪の伐採が行われているのですが、伐採したあとの竹がそのままにされていたために、大雨で増水した時に流されてきたのです。

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これは美観を損ねているだけではなく、ゴミの回収のように岩場を歩く時にも障害にもなっています。竹は自然に還るものですから、産業廃棄物として処分するようなものでもありませんが、対処方法を考えていく必要があるなあ、と思いました。

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調査は、ゴミを拾う人、ゴミを袋に入れて運ぶ人、シートに記入する人、の3~4人が一組となって行われます。タイヤや建築資材のような大きなものから、小さな発泡スチロールの破片まで、とにかく徹底的に拾いまくってカウントする、気の遠くなるような作業ではありますが、こうして集められたデータの一つ一つが、漂着ゴミ対策を立案する際の貴重なデータとなっていくのです。

 

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なかにはこんなものも。道路工事の際に使われるパイロン、工事現場の労災関係の標識、旅行カバン、漬物の樽・・・。いつものことながら、なんでもあり、という状況に、驚くやらあきれるやら。旅行カバンのように明らかな不法投棄物が流されてきた、というゴミもありますが、故意ではないにせよ、管理が行き届いていないことによって流されてくるものもたくさんあるのです。

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そうして集められたゴミは、土嚢袋に詰めて、バケツリレーよろしく船に積み込みます。

実はこの場所、水深はそれほど深くなく、大きな岩がいっぱいあります。保津川下りの船の定員は船頭さんを入れても30人。そこに23人の学生さんと、大量のゴミを積み込むと、普段よりも船の喫水がずいぶんと下がってしまいます。一歩間違えれば座礁・転覆の恐れもある危険な場所で、巧みに船を操る船頭さんたちの技にはいつもながら感心させられます。

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保津峡一の落差を誇る、小鮎の滝を進む船。この先に、今回のもう一つの調査地点、「大高瀬」があります。

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大高瀬は、上りのJR山陰線に乗ると、最初の鉄橋上で右手側に見える、保津峡でももっとも長い瀬が続く場所です。その直前で川は直角に大きくカーブしているため、たくさんのゴミが漂着する場所でもあります。さっそく目に付いたのは、写真手前の布団(笑)

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そして、その先の岩場へ進むと、唖然とするような光景が広がっていました。

水面からは3m以上の高さの岩の上に、おびただしい数のペットボトルや空き缶が漂着しています。10月の大雨で増水したときに流されてきたのでしょうか。こういう川が大きくカーブする、その外側にはいつも大量のゴミが漂着しています。

学生さんたちも「うわ~」「え~っ」と大きな声を上げていました。調査の前も何度も船で前を通っていますが、船からは見えにくい場所にこんなにたくさんのゴミがあったとは、驚きでした。

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そんな岩場で、足元に気をつけて調査を進めます。本当は全部のゴミを拾いたいのですが、あまりに多すぎるため、範囲を区切って徹底的に調べることを優先しました。

下流部に行くほど、ビンや発泡スチロールは破片化してしまい、回収が困難になるのですが、まだこのあたりではご覧のようにビン類は原型をとどめています。つくづく、漂着ゴミは発生源の近くで回収し、なによりも出来るだけ流出させないことが重要だなあ、と感じます。

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再びゴミを積み込んで出発。どんどん乗るスペースが狭くなっていきます。後ろで舵を持つ船頭さんはゴミの上に立って操船、私もゴミ袋を背もたれにして乗っていました(笑)

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流れが穏やかな場所では、櫂引きなどを体験させてもらいました。一見簡単そうに見える櫂引きですが、やってみるとこれがなかなか難しいものです。こういう体験を通じて、この川に伝わる「下船術」に少しでも興味を持ってもらえたら、と船頭さんたちもおっしゃっていました。

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この川につたわるもう一つのもの、それは舟が安全に下れるように何百年も行われてきた「川作」(かわさく)です。かつて、日本の川では筏や舟を流すための川作が、住民や船頭、筏士の手によって行われてきました。巨岩を除去したり、浅瀬を浚渫したり、水寄せとよばれる石組みなどを用いて舟が航行できる推進を確保したり、そういう「川作」が、人力のみで行われているのは、今ではこの保津川だけです。

今回の調査に先立って、このような「川作」についても事前学習をしてきた学生さんたちも、一瞬ではありますが、その現場を見ることができて大変興味深そうでした。作業にあたる船頭さんたちからも「ありがとう!」と声をかけてもらいました。

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ところで、海岸漂着ゴミの清掃活動に参加されている方から、最近では缶ジュースの「プルタブ」をめっきり見かけなくなった、というお話を聞いたことがあります。空き缶のポイ捨てが急増する中で、プルタブは少しでもゴミを減らすためにステイオンタブに切り替えられたのですが、それが保津峡ではまだまだたくさんあります。

ほかにも、10年、20年も前の空き缶もたくさん見つかります。言い換えれば、それだけ長い間のゴミがこれまでほとんど手つかずで放置されてきたということでもあります。

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今回の調査では、回収したペットボトルの品目調査を行いました。いったんゴミ袋に入れたペットボトルを河原に広げて、メーカーやブランドを調べます。この調査は学生さんからのアイデア。新しいデータがこうして少しずつ、集まっていきます。

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最後に、60年前までこの川で行われていた「曳き舟」の体験を行いました。今では嵐山まで下った舟はトラックで回送されますが、かつては3人の船頭さんたちが綱で引っ張って亀岡まで戻っていました。今も保津峡には、その時に使われた「綱道」が随所に残されています。そんな昔の人の苦労を、少しは体験できたでしょうか?

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今回の調査では20L入りの土嚢袋に80袋分のゴミを回収することができました。そのほかにもタイヤや冷蔵庫など粗大ゴミもたくさんありました。

 

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最後に船頭さんも一緒に記念撮影。寒い中、お疲れさまでした。

なお、この調査結果は今週末1/29(土)に大阪商業大学で開催される「フィールドワークゼミ成果報告会」で発表されます。お近くの方は、ぜひお越しください!

  • 大阪商業大学 平成21 年度 フィールドワークゼミナール成果報告会
    日 時:平成22年1月23日( 土 )13:00~16:30
    会 場:大阪商業大学 ユニバーシティホール 蒼天
    詳しくはこちらをクリックしてください。

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