2009/06/04
半世紀ぶりの「初対面」!
本日、半世紀の時を越え、筏の歴史を支えた3人が初めて顔を合せました。
かつて保津川で筏を組み、流し続けた元筏士、上田潔さん(89歳)と酒井昭雄さん(82歳)。そしてその筏組に使う「カン」を作り続けた鍛冶屋、片井操さん(79歳)。
元筏士の方は片井さんのところで作られた「カン」を使って、筏を組んでいたそうです。お互い筏の歴史を支えてこられました。しかし、この3人は今まで決してお会いすることはなかったのです。
片井さんからの聞き取りを続けていくうちに、片井さんの熱い思いを知ることになりました。「元筏師にお会いしたい!是非、カンを作っているところ見ていただきたい!」という熱い思い・・・。
片井さんへの聞き取りの様子は、下記をご覧ください。
http://hozugawa.cocolog-nifty.com/blog/2009/05/post.html
そして、今日、初対面が実現したのです。3人は挨拶もそこそこにかつての昔話に花を咲かせます。私たちにはちょっと近寄りがたい独特の雰囲気。働く場所は違えど、互いに「筏文化」を支えてきたオーラでしょうか?!
実際にカンを作るところを実演していただきました。
本日も多くのギャラリーです(笑)。地元の京都学園大学の学生も参加してくれました。
普段はにこやかな片井さんの表情も一変。職人の顔に。
元筏師の方々も熱心に見つめます。実は今日初めて「カン」を作るところを見たそうです。上田さんが「もっと簡単にできるものと思っておりました。もっと大事に使ってやればよかったなぁ~」と感慨深げにおっしゃっていました。
そして、片井さんはうれしそうに「カン」を打っていました。「今日はほんまにうれしかった。この機会を作っていただき、感謝、感謝です」と。
今は必要とされなくなった鍛冶屋の技術。しかし、その技術が筏組の技術を支え、筏文化を作ってきたのです。
<番外編>
片井さんのお言葉に甘えて、実際にカンを作らせていただきました。
プロ保津の理事が打つ。しかし、なかなかうまくいかず何回も(笑)熱しては打ち、熱しては打ちしてました。(片井さんは流石一回で決めていましたね~)ただ「うまくいかへん」を連発してました。
京都大学の先生も打つ!次回リベンジを誓っていましたよ(笑)
そして、私もやってみました。鉄を熱する時間配分が難しく、熱する時間が少ないとうまく成形できないし、熱しすぎると溶けて形がいびつになる。まさに火の戦いですね。
上田さんが「火を扱うのは難しく、怖いもんですね~」とおっしゃていましたが、反対に保津川の急流を筏で下るほうが怖いと思うのは私だけでしょうか?
私達の結果
上が片井さん作、下が素人作。私のはどれかはご想像にお任せします。使い物にならないため、記念に持って帰りました。これを見ていつでも初心に帰ることができますね(笑)
かつて筏を通じてかかわりあってきた人々が、半世紀の時を経て、顔を合せ、心を通わせる。そんな歴史的な瞬間に居合わせて本当に幸せでした。
筏流し復活を通じて、いろんな方々とふれあい、言葉を、心を通わせる。この活動はわたしにとって将来かけがえのないものとなっていくでしょう。さらにかけがえのないものにするためさらなる精進をしていきたいと思います。
(K)