2009/03/23
保津川の筏で運んだ木のお箸を卒業式でプレゼント!
今日23日は京都府内の多くの小中学校で卒業式が行われました。ここ亀岡でも、それぞれの学校で卒業生が巣立っていきました。そんな中、昨年9月に行われた保津川筏復活プロジェクトに体験学習として学校を挙げて参加してくださった亀岡市立保津小学校へ、卒業のお祝いとしてある「プレゼント」
を届けに行ってきました。
学校に入ると、卒業式が終わるまで控え室に案内されたのですが、途中の階段にも「ご卒業おめでとう」の飾り付けがされていました。さすがは、「船頭衆の村」の学校、保津川下りの船が描かれています。
さらに控室となっていた教室の壁にも、保津峡の地名といわれが飾られています。昨秋の筏復活プロジェクトでも、保津小学校の先生方には材木の提供などに大変お世話になってきましたが、地域に伝わる歴史や文化をしっかりと教えて、学んでこられたんだなぁ、ということが伝わってきました。
さて、今回のお箸は、9月の保津川筏復活プロジェクトの際に、かつて筏に乗せて「上荷」として運ばれていた「乗せ木」を再現しよう、と、京都おはし工房代表の北村隆充さんに制作を依頼していたものです。北村さんは、京都の老舗にお勤めになったあと、「独立御箸師」として、工房を開かれました。
有名なスイスの独立時計師の信念である「分業制や下請けに任せていては本当によい物はできない」という言葉に感銘を受け、今の仕事を始められたそうです。今の多くの安いお箸は、合成樹脂を使い、さらに塗りやすくするために有機溶剤も使用しています。そんなお箸では、上手に使えないだけではなく、体にいいはずもない、とこだわりを持って作られるお箸は、胡麻も簡単につまめてしまうほどのシャープな箸先、料理を美味しくいただくことができます。
今回、制作をお願いしたお箸は、「拭き漆」という伝統的な技法で作られたものです。木地に丁寧に生漆を刷り込むことで、永く使えるようになっています。1か月以上かけて丁寧に作られたお箸は、芸術品と呼ぶのがふさわしい逸品。本当は、制作をお願いしてもバックオーダーが大量にあり1年以上かかってしまうところを、筏復活プロジェクトの趣旨に賛同いただいて、今回の卒業式に間に合わせてくださいました。
卒業式が終わったあと、教室に招待され、まず早田理事から卒業のお祝いと、お箸のことを簡単に紹介させていただきました。事前に知らされていなかった卒業生のみなさんは、思わぬプレゼントにちょっと驚かれたようすでした。
その後、11人の卒業生のみなさん一人一人に、保津川下りの船頭でもあり、筏復活プロジェクトのリーダーでもある河原林理事から手渡ししました。
実は、今回のお箸を作るにあたって、大変な苦労がありました。それは、お箸に適した木がない!ということです。本当は丹波の木でこだわって作りたかったのですが、山が荒れてしまった今では、お箸に適した樫の木を見つけることすら困難です。そこで、筏復活プロジェクトの直前まで、ほうぼう手を尽くして、最後は大阪の問屋さんから木を届けていただきました。筏の体験を通じて、川のほとりで育った卒業生の皆さんには、山のことや川のことをずっと忘れないでいてほしい、そんな想いがこのお箸には込められています。
最後に、卒業生の代表から私たちにお花のお礼がありました。今度はこちらがビックリです。温かい心遣い、ありがとうございました。
最後に在校生や教職員のみなさんと一緒に卒業生のみなさんを見送らせていただきました。心も体も大きく育ってくださいね!卒業生のみなさんのご活躍、心からお祈りしています。
(H)