2009/01/28

「企業と市民の協働によるまちづくり学習会」に参加しました

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先週末、25日(日)に、「企業と市民の協働によるまちづくり学習会」が亀岡市役所市民ホールで開催され、プロジェクト保津川も参加しました。

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基調講演は「企業による共同のまちづくりについて」という演題で、元ホンダ・オブ・アメリカ副社長で、現在は関西国際大学客員教授をつとめられている、網野俊賢さんによるお話でした。網野さんは、今からちょうど30年前に、アメリカにおける日系自動車メーカーとしての初めての現地生産工場となるオハイオ工場の立ち上げも手掛けられた方です。当時はまだ、今ほどに日本メーカーがアメリカ社会に受け入れられてなかった時代。「まず、現地の人に嫌われない工場になろう」という河島・本田技研社長の言葉のもと、さまざまな取り組みを手掛けてこられた方です。

今では、ビッグ3以上の存在感を示し、また生産台数こそトヨタに抜かれたものの、アメリカにおけるホンダという会社のステイタスは、日本で考えるそれよりは遥かに大きなものがあります。ですが、そこに至るまでの道のりは、社員のみなさん1人1人の、本当に小さな行動の積み重ねがあったからこそだったということがよく分かるお話でした。

また、網野さんは現在、NPO法人「きょうとNPOセンター」の理事も務められています。「きょうとNPOセンター」といえば、京都のNPOや市民団体の支援施設「ひと・まち交流館 京都(京都市市民活動総合センター)」の運営を手掛ける団体として知られていて、活動内容の充実度は、全国でもトップクラスの組織として知られています。ですが、そんな「きょうとNPOセンター」も設立当初は10数名の本当に小さな組織で、10年以上かかってここまで育った、というお話をしていただきました。

私たちプロジェクト保津川は、そんな先輩NPOと比べるべくもない、小さな小さな団体ですが、頑張って続けることこそが大切なのだなぁ、と改めて感じ、勇気づけられました。

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基調講演のあとは事例発表として、グンゼ(株)亀岡工場と亀岡電子(株)の取り組みが紹介されました。

最初の報告をされたグンゼは、京都府綾部市が創業の地で、1896年に地域産業である蚕糸業の振興を目ざして設立されました。グンゼの社名は、「国に国是、郡に郡是あるべし」との考えに共鳴した創業者・波多野鶴吉が社名を「郡の正しい方針」を意味する「郡是製糸株式会社」と定めたことに由来しています。

亀岡の生んだ偉人・石田梅岩は「実の商人は、先も立、我も立つことを思うなり」と、実にシンプルな言葉で、商人のあるべき姿を述べました。梅岩の教えは、のちの近江商人の「三方よし」として知られる考えと並び「日本のCSRの原点」として知られています。本業を通じて社会に貢献し、持続可能なビジネスを展開していくグンゼを始め、日本企業独特の社会貢献のあり方は欧米のそれとは大きく異なり、非常に興味深いものです。

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また、事例報告の2つ目は、プロジェクト保津川の団体賛助会員として応援をいただいている亀岡電子(株)の方からの報告でした。

亀岡電子では、社員のみなさんによるサークル活動の一環として、本社周辺の清掃活動を実施されており、回収したゴミのデータの収集なども行われていて、その結果などを紹介していただきました。

川の漂着ゴミのほとんどは、いたるところにポイ捨てされたゴミが雨が降った時に流されてきたものです。川のゴミを減らすためには、地域のみなさんのこうした取り組みが不可欠で、実際にこのような活動をしていただいているお話を伺うと、私たちも勇気づけられます。

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最後に、網野さんの司会のもと、フロアの参加者のみなさんとともにディスカッションが行われました。自治会の方やほかのNPOの方、企業の方などさまざまな方のお話を聞くことができました。

中でも、保津川遊船企業組合(保津川下り)の方からは、最初は自分たちの「職場」として保津川の清掃活動を始めたけれども、それが大きな輪になって、今では市民のみなさんに助けてもらう、いわば企業が社会に助けてもらうCSR活動になった、というお話をしていただきました。司会の網野さんからは「そういう“新しい形”のCSR活動もあるのか」という感想の言葉が述べられていましたが、みんながお互いに助け合う、「亀岡型」のまちづくりというものが生まれつつあるのかもしれませんね。

市民や企業、行政の皆さんとどのように協力して保津川を守っていけばいいのか、非常に参考になるお話をたくさん教えていただけた学習会でした。

(H)

「企業と市民の協働によるまちづくり学習会」に参加しました」への2件のフィードバック

  1. 「企業と市民の協働によるまちづくり学習会」についての記事、興味深く拝見しました。私もスピーカーとして、また司会者として皆さんと交流する機会を得て感謝しています。
    「持ちつ、持たれつのまちづくり」これからのご活躍を期待しております。
                  網野俊賢

  2. >網野様
    先日は、大変面白いお話をありがとうございました。ゴミ拾いなんてことをしなくてもすむような川を、「持ちつ持たれつ」、みんなの手で作っていければ、と思います。
    どうぞ、これからもよろしくお願いいたします。

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