2009/03/10
第1回水域生態系保全情報交換会が開催されました
8日(日)、私たちの定例清掃会が終わった後、保津川流域に棲む国の天然記念物「アユモドキ」の保護のため、外来魚の防除について考えるシンポジウム「第1回水域生態系保全情報交換会」が開催され、プロジェクト保津川も保津川の環境問題に取り組む団体として参加しました。
このシンポジウムは、アユモドキ保護に取り組むNPO法人亀岡人と自然のネットワークにより開催されたもので、ブラックバスなどの侵入により危機的な状況にある亀岡のアユモドキの保護策について、活発な議論が交わされました。飛び入り参加も含めて70人の参加者があり、立ち見も出るほど。アユモドキの保護に向けた皆さんの熱意があふれていました。
琵琶湖・淀川水系に生息する、もうひとつの国の天然記念物に指定されている淡水魚、イタセンパラの保護活動に大阪府内で取り組むグループや研究者なども含め、8人の皆さんによる各地での取り組みを紹介する事例発表や講演が行われたあと、参加者全員での意見交換会が行われました。
基調講演では、滋賀県立琵琶湖博物館の中井克樹主任学芸員が、1980年代後半からブラックバスやブルーギルなど外来魚の急増で在来魚が減少した琵琶湖で、漁業者らと協力しながら外来魚の駆除に取り組んだ結果、在来種が増え始めた例が紹介されました。在来種の減少には護岸工事や圃場整備など生息環境の改変も大きな影響を与えているともいわれますが、その一方で生息環境の改善が無くとも、外来魚の生息数を抑えることで在来魚は増える、ということが示され、地域を挙げた地道な駆除活動の重要性が話されました。
これがアユモドキです。世界でも亀岡の保津川と岡山県内の2ヶ所でしか生息が確認されていない「幻の魚」です。昨年の春ごろには、一時は激減していた個体数がやや回復し、関係者一同胸をなでおろしていたところ、夏になって春に生まれたはずの稚魚が1匹も見つからず、さらには成熟個体まで激減してしまったのです。亀岡市内でのアユモドキの個体数の減少についても、もちろん外来魚だけが原因と断定することはできませんが、しかしその一方で、昨年、生息域に外来魚が急増し、それにあわせるかのようにアユモドキをはじめとした在来魚が激減したのもまた、事実です。
そのため、亀岡でも、環境省や府、市、NPOや農業団体など、各機関が連携して対策を講じてきましたが、この取り組みを今後も続けていくことが何よりも大切です。幸い、亀岡では、上の写真の外来魚の駆除作業が年間を通じて行われるようになるなど、取り組みが徐々に広がりつつあります。
しかし、その一方で、残念ながらアユモドキのことを知らない市民もまだまだたくさんいるのが現状です。外来魚の密放流や密漁を防ぐには、市民のみなさんの幅広い協力が欠かせない一方で、危機的な状況にある中で、現実問題として生息地をむやみに公表することが出来ないのが歯がゆいところです。どのようにして市民全体に理解を広げるのか、ことがことだけに難しい問題ではありますが、私たちも協力をしていきたいと考えています。
来月の定例清掃会は、NPO法人亀岡人と自然のネットワークと共催で、アユモドキの生息域での清掃活動を実施する予定です。詳細は改めてお知らせしますが、日本に2ヶ所しかいない、亀岡の宝ともいうべき魚の「棲みか」を守る活動に、ぜひご参加ください。
(H)