2008/12/17

大阪商業大学・原田ゼミによる保津峡のゴミ調査が行われました

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14日(日)、大阪商業大学・原田ゼミの2・3回生の学生17名による保津峡のゴミの実態調査が行われました。この調査は、「どこに、どんなゴミが、どれくらい」漂着しているのか、データを取ることで実態を明らかにし、今後の対策の立案に役立てようと、保津川遊船エコ・グリーン委員会と共同で実施されたものです。当日は朝9時に亀岡の保津川下り乗船場に集合し、エコ・グリーン委員会所属の船頭さんの操る船に乗って保津峡に出発。3回生のみなさんは昨年もフィールドワークに訪れていますが、2回生のみなさんは保津川下りも初めての体験、少し緊張気味?でしょうか。

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さて、一行はまず「殿の漁場」で船を着け、保津川が大きくカーブする「獅子ヶ口」にて調査を行いました。

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今回の調査は、2人がゴミを回収し、1人がゴミの種類と量を記録するという形で行われました。この調査シート、ICC(世界ゴミクリーンアップ)による調査シートをもとに、船頭さんに聞き取り調査も実施して保津川のゴミの実態に即したものに改良したもので、事前に実際に大阪でゴミ拾いをしてさらに改良を重ねて制作したものです。

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獅子ヶ口一帯は大きく川が蛇行しているため、増水時には大量のゴミが漂着します。写真ではわかりにくいかも知れませんが、発泡スチロールの破片やペットボトルが、まさに足の踏み場もないほど散らばっています。また、大きな岩の、ちょっとした隙間にも大量に挟まっていて、これらを取り除くのは慣れているはずの船頭さんでも危険な作業です。

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ちなみに上の写真の奥のほうで作業をされているのは、船頭さんたちによる「川作(かわさく)」。船の航路を確保する「水寄せ」を修復されているところです。この水寄せも、江戸時代に作られたもの。早朝より夕方まで、連日の作業で、傷んだ箇所を修復されています。こういう地味な努力があって、400年もの間、保津川の舟運の安全航行は引き継がれてきているのです。川向こうの船頭さんからも「お疲れ様!」と声がかかります。

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1時間ほどの作業ののち、回収したゴミを舟に積み込み、下流へと向かいます。この時点で、人も乗っている一艘の舟に積めるぎりぎりの積載量。本当はもっとゴミを拾いたかったのですが、やむなく途中で切り上げての移動となり、少々残念ではあります。

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峡谷では、カモやオシドリなど、さまざまな渡り鳥に出会います。特にオシドリのオスは、本当にきれいな色で目を楽しませてくれます。

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今回のお楽しみは、「廻ヶ淵」にある「保寿泉」に上陸しての水汲み!皇室のお茶会にも使われたという保寿泉の清水。石碑の碑文は久禰宮殿下による書です。持参したペットボトルに水を汲んでお土産です。

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さて、その後はJR保津峡駅下の「鵜飼の浜」に移動して昼食です。今回も亀岡の「四季彩」にて作っていただいた特製「野菜のお巻き」のお弁当。美味しいと大好評のこのお弁当、食べざかりの学生さん、一瞬で平らげてしまいました(笑)

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川を下っていく舟をみんなで手を振ってお見送り。保津川ならではの風景ですね。

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体も冷えてきたので、焚火を起こしました。船頭さんと、川のこと、調査のこと、就職活動のこと、はたまた人生のこと、いろいろな話に花が咲きます。

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さて、一休みしたところで調査再開。今度は上流方向に向かって進みます。ちょうど向こうからトロッコ列車がやってきました。

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このあたりは、大雨が降ると4~5mも水位が上昇することもあるため、先ほどの獅子ヶ口では見かけなかったような大物ゴミも見つかります。茂みの中には、流されてきた大きな廃材や電柱などもいっぱいありました。

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日が陰り、だんだんと温度が下がってきましたが、動き回っていると意外に寒さは感じないもの。足もとに気をつけながら調査は続きます。

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毛布にブルーシート、テント、いろんなものが出てきます。ただ、やはり多いのは発泡スチロールやレジ袋などの破片とペットボトルです。

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中には流されてきて、土に埋まったトラック用のタイヤもありました。他にもここで泳いで帰った人が残したのでしょうか、アウトドア用のイスやBBQ用の網、さらには紙おむつなどもありました。

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このポイントでの清掃もだいたい1時間ほど実施しました。集まったたくさんのゴミは船には積みこめないので、上に登ったところにひとまず集めて、翌日に船頭さんたちにトラックで回収していただくことにしました。

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バケツリレーよろしく、みんなで上に運びあげます。これがなかなかの重労働なんです。

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かなりの急斜面。足もとに気をつけて、ゴミをリレー。

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今日だけでなんと土嚢袋に55袋ものゴミが集まりました。その他にも、工事用バリケードや建築資材、トラック用タイヤなど大きなゴミもたくさんあり、2t近くはあったのではないでしょうか?翌朝、船頭さんに運んでいただいたところ、結局軽トラで2往復していただいたそうです。

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2か所での調査も無事に終えて、暗くなる前に嵐山を目指します。流れが穏やかになったところで、今度は船頭体験。櫂の引き方を教えてもらって挑戦です。去年、経験している3回生はさすがに上手。船頭さんから「じゃ、明日7時半集合な!」と声がかかります。

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無事に嵐山到着。9時半に出発して、15時半まで、合計6時間に及ぶ長い調査でした。1日、お世話になった船頭さんに全員でお礼の挨拶をして解散です。みなさん、遠いところを早朝から夕方までお疲れ様でした!

調査終了後は船頭さんも交えての打ち上げを行ったのですが、学生さんからは「今までは何にも考えんとゴミを捨ててたけど、こんな苦労をされてるなんて知らなかった」「自分たちが捨てたゴミじゃないのに、仕方ないとはいえ、ずっとこんなしんどい仕事をせなアカンのか」という声が上がっていました。現場を見て、何かを感じてもらえれば、それが何よりの収穫だと思います。

これまでにも、ゴミ拾いはたくさん行われてきましたが、流れてくるゴミを拾うだけでは根本的な解決にはつながりません。抜本的な対策の立案には多くの関係者による議論が欠かせませんが、そのためには徹底した状況把握、つまりゴミの実態把握が必要不可欠です。実際、ゴミ対策が進んでいる地域では、このような調査が継続的に実施され大きな成果を挙げています。

保津川の場合、容易には近づけない保津峡という峡谷区間を抱えていることもあり、今までこのような調査は実施されてきませんでした。また、ゴミの状況は季節や水量によっても大きく変化します。取っても取っても流れてくるゴミの回収に追われ、実態把握は手つかずだったのが実際のところです。そこで、今後はゴミの実態把握も行い、その成果をゴミマップに反映することで、対策を考える基礎的なデータベースを構築し、関係各機関とも協力していきたいと考えています。今回の調査も、その一環で実施したもので多くの貴重な情報を集めることができました。

最後になりましたが、大商大・原田ゼミのみなさん、そして保津川遊船エコグリーン委員会のみなさん、ご協力ありがとうございました。

(H)

大阪商業大学・原田ゼミによる保津峡のゴミ調査が行われました」への2件のフィードバック

  1. ( ゜▽゜)/コンバンハ
    皆様お疲れ様でした。
    毎日JRから保津川を眺めておりますが、ゴミの漂着が見えます。特に増水の後は木々に絡まっているゴミも多く、川底にも沢山沈んでいるのでしょうね。
    トロッコ・鵜の川周辺は散歩でよく訪れますが、タイヤが沈んでいるのを見たときは正直驚きました。
    地道な活動に敬意を表します。それと共にゴミを捨てないで!と改めて言いたいですね!

  2. >naruさん
    ゴミ拾いって、退屈でしんどい作業でもなく、やってみると意外に楽しいもんです。まるで宝探しみたいに(笑)とくに保津峡のような、簡単に近づけないようなところでの掃除は、自分も川の一部になれる、というか、また違う楽しさがあります。
    もちろん、大量のゴミを目の当たりにすると悲しい気持にもなりますが、それもまた現実です。何はともあれ、たくさんの人に、良いことも悪いことも、川の「いま」を実際に見てほしいな、と感じました。

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