2009/05/29
不法投棄ゴミに思う、アンパンマンの心・・・
「人は何の為に生まれて、何をして生きるか?」
その問いに「他人や社会に役立つ人となる為」と答える漫画家のやなせたかしさん。このメッセージを伝えたくて書いた作品が「アンパンマン」です。
アンパンマンは、お腹を空かせて泣いている子に、パンでできた自分の顔をちぎって与えます。他者を助ける為に、自分の身すら犠牲にする究極の“愛”がテーマ。
日本のいや、世界のアニメには数多くのヒーローがいますが、アンパンマンのようなヒーローは見当たりません。そんなやさしさが無垢な幼児たちには素直に伝わるのか?アンパンマンは今や幼ないお子さんを持つ家庭で絶大な支持を受けています。
そんなアンパンマンが・・・
先日、遊船に出勤しようとバイクを走らせていると、保津川の支流・雑水川の縁に数個のゴミ袋が捨ててあるのが目に留まりました。そのゴミは深夜にでも捨てられたのでしょうか?もう、カラスがつつき、中身が散乱している状態でした。
早速、遊船のエコ・グリーン委員長でもある森田理事と一緒にゴミを回収に向かいました。捨てられていたゴミの中身は、新聞紙や生ゴミ、ハンガーなどの生活ごみのほか、子供用の靴に玩具が多数、それに使用後の紙おむつ数個までが混ざっていました。
どうやら幼い子供を持つ家庭から出されたゴミのようです。
それらのゴミを回収用の土嚢袋に拾い入れようとしたところ、そのゴミ群の中から「アンパンマン」の絵本が出てきたのです!
このゴミ投棄犯が、自分の子供に与えたものでしょう。かわいい顔をして笑うアンパンマンが、私には泣いているように感じました。人のために、社会のために奉仕する愛と勇気の使者・アンパンマンと今、目の前に展開されている現実は対極をなし、私の心に容易にはつながらないのです。
子供は成長していく過程において、いろんな外的要素が精神に影響を与えるといいます。その中でも、子供が最も精神的影響を受けるのは“親”であり“家庭環境”だといえます。
物心ついた子供の心理に影響を与えるのはもう、アンパンマンではありません。残念ですが・・・。
自らの家庭ごみを、平気で投棄して恥じない親に育てられる、その子供の行く末を案じずにはいられません。親の精神と行動は遺伝します・・・。アンパンマンが大好きな無垢な幼児が、またひとり不道徳な人間に育っていく・・・、なんとも情けなく淋しい気分になりました。
アンパンマンが世に出てもう30年が経つといわれます。恐らく、この親もアンパンマンを見て育った世代でしょう。アンパンマンのグッズに囲まれていた世代でしょう。
アンパンマンの活躍に胸を躍らせたあの頃、パンをちぎって泣いている子にあげるあの姿に感動した、純で無垢だったあの頃をもう一度思い出してみてください。
アンパンマンの描く慈愛は「“親”の子供への“愛”」にほかなりません。そして、子供さんと一緒にアンパンマンを観る事で、この作品に込められた本当のメッセージ、人として大切なことに気付いてほしいのです。
そうすれば、このようなゴミは、この世から一切なくなる、そう信じたいのです。
「アンパンマンのマーチ」
作詞:やなせたかし 作曲:三木たかし 編曲:大谷和夫そうだ、うれしいんだ生きる喜び
たとえ胸のキズが痛んでも
なんのために生まれて、なにをして生きるのか?
答えられないなんて、そんなのはイヤだ
今を生きることで、熱い心燃える
だから君は行くんだ微笑んで
そうだ、うれしいんだ生きる喜び
たとえ胸のキズが痛んでも
ああアンパンマン
やさしい君は 行けみんなの夢守るためなにが君の幸せ、なにをして喜ぶ?
わからないまま終わる・・
そんなのはイヤだ
忘れないで夢を こぼさないで涙
だから君は飛ぶんだどこまでも
そうだ、恐れないでみんなのために
愛と勇気だけがともだちさ
ああアンパンマン
やさしい君は 行けみんなの夢守るため時ははやく過ぎる 光る星は消える
だから君は行くんだ微笑んで
そうだ、うれしいんだ生きる喜び
たとえどんな敵が相手でも
ああアンパンマン
やさしい君は 行けみんなの夢まもるため
(T)