2008/06/16
よみがえれ!“保津川の鮎”
京都の夏、旬の食材といえば“鮎(あゆ)”です。川幅が広く流れの急な保津川で育った鮎は身も締まり香りもよく、上質の川魚として京都の有名料亭の膳によく出される一品です。
今、保津峡にはこの保津川の鮎を求めて、多くの釣り人が鮎釣りに来られています。
それほど“旨い”と評判の保津川の鮎ですが、最近どうも状態が変わってきているとの噂を聞く事が多いのです。。
保津川の鮎といえば、美食家で知られた北大路魯山人も好んで食したといわれ、保津川の鮎を樽に入れ、生きたまま東京まで運ばせたという驚きの逸話まで残されています。その当時、保津川の鮎は間違いなく“日本一旨い鮎”であったことは疑う余地はないでしょう。
魯山人の残した文献よると「保津川の鮎は容姿が光り輝いて美しく川の香気漂うもの」で、「捕えてから十時間以内でなくては、その価値がない」となにより“新鮮さ”にこだわり、調理する時に死んでいてはいけないそうです。
「あくまでも塩焼きでうっかり食べると火傷をするような熱い奴を“がぶっ”とやるのが
一番香ばしい」と食べ方にまでこだわりを持ち愛していたようです。
今では照り焼きやてんぷらといった創作料理も多くメニューに出てきますが、やはり鮎は‘塩焼き’が王道であるようです。
以前「美味しんぼ」という漫画の単行本8巻第4話に「鮎のふるさと」にも“日本一の鮎”として保津川の鮎が紹介され、主人公の山岡が態々、保津川にまで来て、確認したほどです。
優れた京都の料理人の手により、調理され数多くの美食家や京の町衆の口を満足させ、夏の京都に欠かすことの出来ない食材としての地位を築いていった保津川の鮎。
しかし、近年、保津川の水質悪化や川ゴミの影響なのでしょうか?年々、その質が低下してきているとの噂もあり、京都の料理界でもその評価は下がってきていると聞きます。
京都が日本に誇る、伝統ある川の食文化の代表的存在だった保津川の鮎にも、近年の川環境の変化は暗い影を落そうとしているのでしょうか?
保津川の自然の恵みで育つ鮎が、いつまでも変わらず「日本一“旨い”」といわれる為に今、私達に何ができるのかを、同じ川で生きる者として真剣に考えていきたいと感じています。
“よみがえれ保津川の清流、よみがえれ保津川の鮎!”
プロジェクト保津川 豊田