2008/11/05

生い茂る水草

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紅葉ももうすぐ見ごろを迎える嵐山。来週の日曜日には、「嵐山もみじ祭」も開催されます。

そんな風光明媚な嵐山ですが、最近、ちょっと困った事態が発生しています。それは大量に発生する水草、写真でも水中に「モコモコ」としたものが写っているのがわかるでしょうか?オオカナダモという外来種を中心に大量の藻が繁茂しているのです。特に千鳥ヶ淵から一の井堰上流にかけて大量に繁茂し、景観が損なわれるだけではなく、遊覧船の運航や鵜飼いなどに支障をきたし、藻に付着した泥などが原因となって悪臭も放つ、といった問題が顕在化しています。地元でも除去に取り組むなど、苦労をされているところでもあります。

繁殖している藻は外来種が主となっていることから、国土交通省淀川河川事務所でも河川における外来種対策の一環として、生態調査を進めるとともに、学識者・関係行政機関を主体として地元の方も加わって対策を取られているのですが、大きな効果はあがっていません。

最近では、保津峡やさらに上流の亀岡市、南丹市でも藻が大量に発生しています。原因は何かひとつに断定できるものではありませんが、保津川の水質が富栄養化していることと、ダム建設などにより流量の変動が少なくなったことが大きな要因として考えられます。

しかし、上流域でも下水道整備は進んでいるはず、なのになぜ?という疑問が残ります。

実は一般的な下水道は、有機物は除去できますが、水中に含まれる窒素やリンを除去することはできません。高額の費用が必要な高度処理を施したとしても、50~80%程度までしか除去することができないのです。この窒素やリンは、化学肥料としてもおなじみですが、実はお米のとぎ汁や台所用洗剤といった、生活排水の中に多く含まれています。しかも、化学肥料としてのリンは、原料のほとんどを海外からの輸入に頼っているのが現実だとか。言ってみれば、私たちは貴重な「資源」を川に無意識のうちに垂れ流し、そして環境の悪化まで招いている、ということになります!

下水道や浄化槽の整備が進んで有機物は確かに減ったものの、窒素やリンも除去できる設備には多額の投資が必要です。その一方で、水田面積は減少し、さらには用水路がコンクリートで直線化され陸域でこれらの富栄養化物質が吸収されない、というジレンマ的な川を取り巻く状況があります。

こういった問題にも、上流域でも今後、何ができるのか、を考えていかないといけません。
 

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(H)

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